penguの事例
アドバンテック株式会社
現場DXが創出する、
メイド・イン・ジャパンの明日。
アドバンテック様は、全世界で産業用コンピュータの42.5%のシェアを持つ、台湾を本社とするグローバル企業です。その生産拠点の一つとして重要な役割を担う、福岡県の直方事業所では、商品技術グループを皮切りに、さらなる効率化を図るために、penguを導入。メイド・イン・ジャパンによるものづくりを支える現場DXの取り組みを紹介します。
- 業種:
- 電気機器
- 事業規模:
- 日本法人の従業員数 255人
- 部門:
- 商品技術
- アドバンテック株式会社
(左から)経営戦略室 IT&DX推進グループ マネージャ 濱村 英治氏、
生産・サービス統括本部 生産センタ 商品技術G グループリーダ 山内 聡氏、
生産・サービス統括本部 生産センタ 商品技術G 笹尾 薫氏、
生産・サービス統括本部 生産センタ 商品技術G 下原 宏章氏、
取締役 経営戦略室 室長 木下 誠氏
課題
- 1年間で1000件超のインプットがあり、
手作業での入力に膨大な時間を費やしていた - 業務が属人化し、組織として
ノウハウが蓄積できないリスクを抱えていた - 納期に間に合わせることに手一杯で、お客様に
本当の意味での価値提供ができていなかった
解 決
- penguによる一括自動化で作業効率が上がり、
品質確保、生産のリードタイム確保を実現 - 現場の担当者自らが楽しく自動化を修得、
次々と周りのメンバーに良い波及効果あり - 自動化によって時間に余裕が生まれ、
価値あるサービスの検討にも着手できる
導入の背景と経緯
“高品質、低コスト、安全デリバリー”
現場DXが、日本のものづくりの良さを再定義する。
現場DXが、日本のものづくりの良さを再定義する。
激動の世界情勢の中にあって、多くの企業がものづくりの課題に直面しています。台湾に本社を持ち、日本でも生産を行うアドバンテックも例外ではありません。
室長の木下氏は「より安全・確実に製品を調達できるように、ものづくりの拠点として直方事業所に大きな期待が寄せられています。期待に応えるためには、品質、価格、デリバリー、すべてにおいて優れていなければなりません。この20年間のメイド・イン・ジャパンは、品質は良いけど高いというものでした。しかし、私たちはそうは思いません。開発・製造の現場の効率を高めることで、安心できる品質のものを、より低価格で、安全にデリバリーすることが可能になります。カギを握るのは現場DXで、その取り組みを推進することで、日本のものづくりの良さを再定義して、世界中のお客様に届けたいという思いでした」と語ります。
なぜ、現場はDXを必要としたのでしょうか。マネージャーの濱村氏は「各現場にはさまざまなローカルシステムがあり、業務は手作業が多いのが現状です。直方事業所では6000以上の製品を取り扱っており、それに関わるデータの入力ミスや転記漏れ、作業の手戻り、業務の属人化がもたらすロスは小さくありません。お客様への納期の遅延や、それをカバーするための人員増加によるコスト増など、生産性の改善が急がれていました。いかに現場のリテラシーを向上させ、主体的に改善を回していける環境を作れるか、そういうDXツールを探していました」と説明します。
それでは、現場の大変さを、身をもって知るグループリーダに現場DXの必要性について聞いてみましょう。「1年間で1000件を超えるインプットが求められますので、これまでの手作業を自動化して効率を上げていく必要がありました。また、ノウハウの蓄積という観点でも課題を抱えており、思案していた時に濱村から聞き知ったのが penguでした」と山内氏。こうした事情を経て、技術変更業務で笹尾氏、新機種立ち上げ業務で下原氏が、pengu担当として任命されました。両名とも、自ら挙手してのことだったそうです。
ココを自動化!
技術変更と新機種立ち上げに関わる業務を自動化、
効率向上、品質確保、生産のリードタイム確保を実現。
効率向上、品質確保、生産のリードタイム確保を実現。
<技術変更に関わる業務>
出荷済み製品に対し、お客様の仕様変更や部品の生産中止が発生した際に、部品変更のための部品表を作成する。製品のコスト、納期、在庫管理にとって重要な役割を担います。
■BOMのダウンロードと編集業務、BOM変更のための資料作成
<新機種立ち上げに関わる業務>
お客様から入手した部品表を元に、低コストで入手しやすい部品をお客様に提案し、自社のシステムに置き換えて、部品発注を行う。ものづくりに必要な生産資料となります。
■部品情報の設計
伴走と自走
penguはレベルに応じた達成感がある。
業務改善プラスαのモチベーションアップにつながる。
業務改善プラスαのモチベーションアップにつながる。
■伴走で3つのシナリオを作成した経験を活かして、少し複雑なものを自走で作成中です。ITに苦手意識があった私が、ここまで来られたのは、オムロンのSEさんのおかげです。わかりやすく教えてくれるスキルは素晴らしく、DXツールの修得を超えて、メンバーを教育/指導する面でも勉強になりました(笹尾氏)
■RPAの知識をある程度持っていた私のレベルを把握してもらい、レベルに応じた計画のもとで効率よく学べました。改善ツールを作りながらの伴走教育は、本当に楽しくて、通常の半分くらいの時間で修得することができました(下原氏)
■「pengu認定資格」のようなものを発行してもらえたら良いなと思います。例えば、名刺に刷って能力を示すことで、単に業務改善しただけでなく、キャリアの幅が広がります。これからトライする人にとってもモチベーションになります(木下氏)
活用による効果
お客様のために、さらなる価値向上を追求。
一つの成功事例が、現場の意識を変えていく。
一つの成功事例が、現場の意識を変えていく。


部品表は、製品のコストや納期、在庫に大きく影響するため、その作成業務は生産の重要な役割を担っています。笹尾氏は「ミスがないようにメンバー全員で年間540時間かかっていた作業が、自動化によって110時間まで削減できた効果は大きいです。事務の現場ではコミュニケーションが必要な場面があり、余裕を持ってメンバーの話を聞けるようになりました。 また、ノーコードツールの活用で「自分で」改善することで外部リソースに頼らずに済み、従来予定していた年間約600万円のコスト削減にもつながりました。」と言います。
下原氏も「これまでは納期に間に合わせることに手一杯でしたが、時間的余裕ができて、コストダウンするための部品検討など、お客様へのより良いサービスの追求に時間を割けるようになりました」と手応えを感じています。
商品技術グループを束ねる山内氏は「自動化によって作業効率が上がり、品質確保につながり、生産のリードタイム確保にも良い効果が現れています。それは、納入先のお客様にとっても製品のリードタイム短縮につながっているのではないかと思います」と直方事業所の価値向上を実感しています。
こうして、ものづくりの現場で回り始めた主体的な改善。経営を担う立場からはどう見ているのでしょうか。木下氏は「自動化できる業務は、現場の仕事の中にはまだまだあると思います。ものづくりの歴史が長いと、変わらない体質、変えられない仕組みになりがちで、それが根強く残っているところもあります。そこを『変えていいんですよ』というマネジメントサイドの後押しと、『変えていいんだ』という現場の自発的な気づき、その両軸が上手く噛み合わさるようにサポートしてあげることに注力していきたいです」と語ります。
今後の展望
製品を支える効率化のプロセスまで見せていく。
それは、お客様に対して大きな説得力を持つ。
それは、お客様に対して大きな説得力を持つ。
現場DXと経営DXを両輪とすることで、組織全体のDXを高みへと導くことができます。濱村氏は「現在、他部門も含めて6名が penguを使っていますが、ファーストペンギンは笹尾でした。自動化を実現した成果を社内でプレゼンしてもらい、その反響が大きかった。『ITのイメージがなかった笹尾さんが短期間でここまで成果を出せたのなら、私もやってみよう』という声が上がりました。こうした現場の底上げを進めつつ、経営DXにつなげていきたいです」と構想を示します。
その言葉を受け、木下氏は「台湾本社は経営レベルから生成AIを取り入れて業務分析など行っています。日本の経営サイドとしては、そうした良い手本を見据え、私たちの風土に合わせて取捨選択しながら進めることが大事。本社レベルのものをオリンピックとするなら、日本は国体選手権です。まずは国内の事業所ごと、現場ごとにステージを作り、それらをつないでいく仕組みを立ち上げていきます」と語ります。
その時、核となるものは何か?木下氏が続けます。「私たちが販売する製品は、ものづくりのシーンでも多く利用されます。その製品を活かした生産DXの事例を実際にお客様にもお見せできるようにしたい。DX化された私たちの仕事を見せることで、エッジコンピューティング、エッジAIといった製品がお客様の業務にもたらす変革の訴求に、より説得力を持たせることができると思います」。
ものづくりにまつわる数々の課題を、現場主導のDXによって解決し、メイド・イン・ジャパンの製品の魅力を世界に向けて発信するアドバンテック様。オムロンは、penguを通じて生産の現場に伴走し、ものづくりの明日へ共に走り続けます。