OMRON
Japan

penguの事例

東洋紡エムシー株式会社

今、製造の現場に求められる
ITマイスターの育成とは

東洋紡エムシー岩国環境・ファイバー工場様の不織布マテリアル製造ユニットステープルグループでは、オムツ、生理用ナプキンなど衛生材料として使われる高機能短繊維製品を製造しています。工程プロセスのデジタル化が進む一方で、工程データの集計作業は人の手に頼らざるを得ず、手間と時間がかかっていました。スピードと正確さを求められるこの業務にSUISUIRPAを導入し、自動化を図ることで大きな改善が見られたという生産管理の取り組みをご紹介します。

業種:
化学
事業規模:
連結1,904名
部門:
製造部門
岩国環境・ファイバー工場 不織布マテリアル製造ユニット
(左から)ステープルグループ 課長:小田 勝二 氏、ステープルグループ:山本 洋平 氏、ステープルグループ:高地 健太 氏、部長:今岡 克利 氏

課題

  • Excelのスキルだけでは対応できない
    工程データの抽出→転記→集計に手間と時間がかかっていた
  • 原材料使用実績の記載が少しでも滞ると、
    情報が混乱し追えなくなる危機感が常にあった
  • デジタル業務は特定の人頼りで属人化しており、
    IT人材の選出にも苦心していた

解 決

  • SUISUI RPAを活用して1/3に時間短縮、
    人が考える業務に向き合える余裕を創出
  • 自動化によりタイムリーかつ効率的に定型業務をこなし、
    スピーディな一元化を実現
  • スモールスタートで成功事例をつくり、
    グループ全体に横展開できる基盤を構築

導入の背景と経緯
デジタルとデジタルの間に、人がつなぐ手作業がある。
そこを自動化できれば、改善の突破口になる。

「一元管理はしていても、その時間がかかっているのです」と、不織布マテリアル製造ユニット部長の今岡氏は課題を切り出します。「予算の立案や予算執行、決算処理が手作業や複数のシステムで行われており、データの整合性や処理の遅延が生じることもあります。コスト管理や効果的な経営判断をするためには、見通しを立ててもっとスピード感を持ってやる必要があると感じていました」と続けます。

そこで、Excelのピボットやマクロ機能を使って効率化を図りましたが、Excelのスキルだけでは対処しきれない問題がありました。「原材料がいつどれくらい使われたかといったデータを社内システムから抽出してくるのですが、これは手作業に頼らざるを得ません。複数のシステムにログインするたびにIDとパスワードを求められ、そこから抽出して、転記しての繰り返しが非常に手間でミスも起こりやすく、業務が集中する月末・月初は特に大変でした」と語るのは、ステープルグループで生産管理業務を担う高地氏です。

また、社内システムのどこからデータを抽出してくるかは、相応の知見がなくてはできません。その人がいなければ立ち行かないという属人化の問題も起こっていました。ステープルグループの小田課長は「デジタル化が進んでも、その間を人がつなぐ作業は非常に時間を要します。日々の結果をコツコツとインプットして仕上げる作業を持ち越してしまうと、情報が混乱し、正確な履歴と結果を追えなくなってしまうのです」と危機感を募らせていました。

そうした課題の根源となっている手作業を、RPAで自動化できないだろうかという働きかけが今岡部長からあり、真っ先に手を挙げたのが、ITスキルの修得に積極的な高地氏と、同じく製造原価管理を主業務とする山本氏の二人。大きな期待のかかるスモールスタートでした。

ココを自動化!
手作業でのデータ抽出と転記を自動化。
単純作業の繰り返しから解放され、スピードアップ。

■日々の原料使用量を工程管理システムから抽出、転記、集計する原材料使用実績の日報業務を、SUISUIRPAで自動化。60分/日かかっていた作業を20分/日にコンパクト化。

■従来の手作業をSUISUIRPAに置き換えることは、単純作業及び入力ミス確認・修正作業からの解放につながり、考えることに時間を充てられるようになった。

■属人化していた作業が標準化され、高地氏が不在の場合でも山本氏が(逆のケースもあり)引き継ぐことで、作業の滞りがなくなった。

活用による効果
現場が中心になって改善を進められるツール。
だから短期間で成果を出すことができる。

高地氏と山本氏は、オムロンのSEの伴走のもと、1ヵ月程度でRPAを修得。当初の目的であった「原材料使用実績」を自動化して、作業時間削減の成果を出しました。

大きなモチベーションを持って取り組めた理由として、高地氏は「DX化はトップダウンで与えられるような大掛かりなものをイメージしていましたが、RPAは部署単位で導入できるボトムアップツールです。自分たちで改善を進められる点が、短期間で効果を上げられたことにつながったと思います」と振り返ります。

山本氏も「RPAの修得を通してITスキルが向上していくのを実感しました。負荷が大きかった定型作業を自分たちで改善できたことは自信にもつながりました」と強調します。手間の削減によって生まれた価値ある時間は、生産計画の組み直しや、発注スケジュールの作成など、人でしかできないことに充てているそうです。

そして、さらなる効率化を目指して「原料使用量入力」「製造原価管理表」「入庫待機品管理データの集計」の自動化フローを自作し、運用しています。「RPAを使った原材料使用実績は想定通りの成果を上げてくれました。OCR、ETLも使う今後の取り組みについても、二人が中心となって自走してくれることを期待しています」と今岡部長は語ります。

今後の展望
会社全体のスマートファクトリー構想のもと、
DX化の成功事例の輪を広げていく。

東洋紡エムシー様では現在、スマートファクトリー構想が進んでいます。今岡部長は「会社全体で、一次帳票による一元管理を目指すものです。今回取り組んだ原材料使用実績について言えば、生産・品質のトレーサビリティや、開発業務における新規原材料の選定へのデータ利活用といったことです」と説明します。そのためには「現場業務のIT化を全て社内のシステムグループに頼るのではなく、自分たちがITスキルを身に着けることによっても解決できれば」と見据えています。

その言葉を引き取って、小田課長は「中心になるのは高地と山本の二人です。彼らがマイスターとなって次々とITスキルの輪が広がっていくことが理想で、今回の取り組みでプラットExcelは、米国 Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。フォーム的な基盤はできたと思います。二人に任せっぱなしにならないよう、再び属人化しないよう、良い流れを作るのが我々上長の役割だと思います」と語ります。

これまで以上にスピード感を持って、高品質なものづくりが求められる製造業では、現場のDX化が必要不可欠です。課題を強みへと変えていく企業様と、オムロンはpenguを通して共に走り続けてまいります。

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